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最近の住宅事情は、どうもおかしいと常日頃から思っています。
新しく家が建っても外壁はサイディング、薄っぺらなスレートの屋根、集成材の柱、土台梁、下地に使われる合板、合板の表面に木目のプリントの床板、同じくプリントの建具、塩化ビニールの壁材、子供が舐めたりしたら危険な畳など…。
これらの材料は、どれも大量の接着剤・化学物質が使われています。化学物質は気温の上昇に比例して建物内部に揮発してきます。それが呼吸によって、ときには皮膚から体内に蓄積されます。化学物質過敏症になってしまう人もいます。いったん化学物質過敏症になってしまうと、僅かな化学物質(シャンプーや石鹸のニオイなど)でも反応してしまうようになるので、普通の生活ができにくくなってしまうんです。
柱や梁も薄い材料を接着剤で固めて作ってあるので、接着剤の寿命が尽きれば家も終わりです。以前、建具が壊れたとのことで友人の知り合いのお宅に行ったときのこと、子供がおもちゃの車で突っ込んで建具に大きな穴があいていました。中を覗いてみると空洞だらけで支えているものはダンボールでした。それを見た奥さんは、こう言ってました「これって木じゃないんですね…」。
最近の住宅に木を使ってないことを知っているのは建築に携わっている人たちだけで、実際に住宅を購入した人は知らないのです。住宅ローンを35年で組んでも、建物は25年そこそこしかもたないなんておかしいですよね。
だからこそ私は自然素材にこだわります! 自然素材で建てた家は化学物質が出ないので空気は良いし、構造材・床・壁天井、全てが時には湿気を吸い、時には吐き出してくれます。ですので、カビやダニの心配も少なくてすみます。これで孫の代まで住むことができれば言うことありません。
自然素材で造った建物は、環境にも優しいのです。例えば、長年住んだ所からどこかへ引越しをするとしましょう。最近の新建材で建てられた家は壊すとほとんど全てがゴミになってしまいますが、自然素材で建てた家は梁や柱、そして3センチを超える分厚い床板は、また使うことができ、その他の部材は焼却処分しなくても、いずれ土に還ります。ですから今問題になっているCO2も、出さないですむのです。
健康で、長持ちする家! そして、地中環境に優しい、そんな家を私達は造りたいと思っています。自然素材は何をとっても あたたかい感じがすると思いませんか。
総ての環境問題は森林を豊かにすることで解決すると言っても過言ではありません。毎年、国内の木材需要を100%供給しても減らないほどの森林が育っています。
今では信じられないと思いますが、家は数十年前まで近くの山(周辺の山)で伐り出された木で造られていました。それが普通の家の建て方だったのです。木だけでなく、近くで掘り出された土は藁スサを混ぜて発酵させ、竹で小舞を組んで壁材として使われました。それが、ごく当たり前であり、家は自然素材でできていたのです。
1960年代中頃までは、国内の森林から70%以上伐り出されていたそうです。それから30年後、この国の木材自給率は20%にまで低下してしまいました。しかも、この頃に建てられた家の数は、世界史上、例がないくらいの建築ラッシュともいえるものだったそうです。
では、なぜこんなことになってしまったのでしょう。爆発的な高度経済成長とともに、実はこの時期に「新建材」が登場し、木に変わって合板や塩化ビニール(燃えるとダイオキシンを出す)が住宅に使われるようになりました。木材も輸入材が増加し、途上国の原生林を伐採し、生態系や気象にも悪影響を及ぼし、森林地域の先住民は強制的に立ち退かされるなど、しました。ひどい話です!
現在、日本の森林は危機に瀕しています。それは伐採によるものではなく、放置されすぎて荒れているからです。人工林は植え付け本数と間伐などをして維持されています。太陽の光をたくさん浴びるように邪魔な隣の木は切ってあげないといけないのですが、これを「間伐」っていうのです。
たくさん太陽の光を浴びて育った木は根っこもしっかりと地中に伸ばし、同時に周辺の土もしっかりと支えています。逆に何の手入れもされずに放置された森林は、一本一本の木に栄養が届かず、根っこも細く、周辺の土も支えられません。ですので、まとまった雨が降ると、土砂崩れや土石流などの災害が起きやすくなります。
だからこそ国産材を使うことで、日本の森林を活性化すれば、災害も減り、海に魚も増え、こんないいことありません。国産材には、この国の住宅建築に適した木がたくさんあります。杉や檜は、その代表です。日本は特殊な気候で、冬はカラカラに乾燥し、梅雨から夏は熱帯雨林なみの湿度になります。住んでる周辺の山の木は、私たちと同じ環境で育っているので、その地域の気候や害虫に対する抵抗力も持っているはずなのです。国産材を使うことで私たちの生活が安心で、より良いものになることは間違いありません。
厚みのない木材を何層にも重ねて、接着剤で固めて作った梁。柱も同差しも全てが集成材です。上に見えている2階床の下地は、最も有害化学物質を揮発する合板です。
集成材
無垢の梁は、木造住宅本来の性能を十分に発揮し、住む人の健康を害さず、しかも孫の代まで持つ家。そして、例え壊してもゴミにならず、自然に還すことができる家。それができるのは、自然素材だからです。
厚みのない材料を何枚も重ねて、科学接着剤でくっ付けています。反ったりねじれたりしないため、お客さまからのクレームが少ないという理由から、最近の住宅のほとんどに集成材が使われています。化学物質を揮発し、寿命も短くなっています。
木は伐られた後も強度が増し、呼吸をするので木造住宅本来の調湿機能を果たしてくれます。無垢の柱や梁も十分に乾燥していれば、反りやねじれも起こりません、そして、何より健康的で長持ちするということふが最大の魅力です。
せっかく無垢の床板にしても、市販の科学物質だらけのワックスを使ってしまうと木の呼吸を止めてしまいます。木の呼吸が止まると、木本来の調湿機能が発揮されなくなるので、いらない湿気の行き場がなくなり、カビやダニの原因にもなります。
天然素材のワックスを浸透させると、木本来が持っている機能を損なうことなく、もちろん化学物質も揮発することがありません。木塗水との相性も抜群です。固形・半練り・液状の3タイプがあります。
建物の最上階が強い影響を受ける天井の断熱。1階の部屋は過ごしやす畔も、2階は耐え難い暑さになるということがあります。屋根裏は、夏場などはものすごく温度が上がる空間なのです。
最近の住宅によく使われるペラペラとしたスレートの屋根材は、野地板にほぼピッタリくっついていて空気層が取れないため、なおさら暑くなります。空気層が取れる形状のものを使うとずいぶん温度が違います。
この建物には野地板(下地材)の上に垂木を流し、その間に炭化コルクの断熱材を入れ、さらに空気層を設けて2重の野地板とし、さらに駄目押しで屋根裏内側から羊毛の断熱材を屋根垂木の間に入れ込んでいます。これなら無駄なエネルギーを使わず、経済的にも助かります!
床下にはもちろん、ベタ基礎でその下には防湿シートが敷いてあります。この建物ではさらに床下全面に珪藻土の細石状になったものを敷き詰めています。蒸し暑さや寒さという感覚には、実は湿度が非常に関係しています。床下は室内よりも普段の温度が4~5℃低くなっているため、同じ空気でも外気との温度差で湿度が高くなります。
また、床下を乾燥させることで土台などが腐食する心配も少なくなり、家自体も長持ちするんです。私の知り合いで、炭化したコルクを床下に敷いて同じ効果を得ている会社もあります。